2008年 09月 29日
No Titile(From 'R2')
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魔王、と彼はあだ名されていた。
初めて聞いたとき、彼らしい二つ名だと思った。
あれは確か、「枢木スザク」の葬儀中継があった日だ。
皇帝ルルーシュはナイト・オブ・ゼロへの叙勲を発表し、更に追悼の意を述べた。追悼式は盛大なものだったが、たゆたう空気は冷え切っていた。冷え切っていたのは、何より皇帝その人だった。
人々は彼に『魔王』という名をつけた。
──あれから約二ヶ月。
「…お別れだ、枢木スザク」
小さく呟いた。
それもいい。
つまらない一人の男が、この世界から消えるだけ。
──生きろ
「…分かってるよ。それが君の『願い』なんだろ」
黒々とした仮面を見やる。一度つけたなら、もう二度と外せない仮面。
被って耳の後ろあたりを弄ると、かしゃりと小さな稼働音がして、後頭部まで包み込まれる。
ゆっくりと目を開けて思った。ああ、この景色を彼はずっと見ていたのか。
「『約束』を果たしに行くよ、ルルーシュ」
スザクは、ゼロは、駆け出した。
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スザクと仮面。
by generalx
| 2008-09-29 22:49
| ギアス掌編
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