2009年 09月 17日
日常ツッコミ劇場 帰ってきた断末奥義の小部屋3
第3回は
”お父さん”の電話
(「カムヒャーお父さん!」を改題、加筆修正)
・
・
・
まず、起。(起とは、起承転結の起。事の起こり。)
その時、自分は夕飯を作っていた。携帯電話が鳴る。
間に合わずに、留守電が残った。ちなみに知らない番号。
とりあえず再生。
『あ、お父さんだけど。』
え?
すみません、父親を二人もった覚えはないんですが…。
『ご飯できてるけど、先に食べてるよ』
舞さん(仮)、はやく帰ってあげてください。
ごはんが、もといお父さんが待ってます。
***
次に、承。(承とは、起承転結の承。物事の展開。)
よく晴れた日曜日の昼近くに、携帯が鳴った。
メモリに登録はされていないが、番号に見覚えがあったので、出る。
「はい」
『あ』
「はい、葵ですけど」
『すみません、間違えました。娘の前の番号と似てたもので』
「いいえ」
「…やっと間違いに気づいたか」
よくない危惧はあたるもので、私を娘と勘違いしたままの”お父さん”からは、その後も何回か電話があった。
しかし、私が一度も出なかったため、”お父さん”は間違いに気づかず、ずっと私に電話をし続けていたというわけ。それは、番号をなんとなく覚えるくらいの回数だった。
ずっと放っておいたのは、娘さんとの会話があれば、いずれ間違いに気づくだろうと思ったからなのだが、今回はそれが裏目に出た。
父「おい、舞(仮)、今日なんで電話寄越さなかったんだ?」
娘「え?」
父「携帯に電話したんだぞ。連絡くれって伝言も入れたし」
娘「えー? でも電話なんてなかったけど…。ほら、着信にも残ってないし」
父「おかしいな…」
娘「番号違ってるんじゃないの? あたし、一回番号変えたでしょ」
父「あ。」
こんな具合には、このご家族はうまくはいかなかったようだ。
娘に電話するくらいだから、家庭崩壊はしていないと思うんだけど(と勝手に人の家庭を創り上げるような真似はよい子はしないように)。
ともあれ、これで”お父さん”も間違いに気づいたわけで、電話もこなくなるだろう。
間違いが一回ではなかったことに気づけば、恥ずかしさはさらに倍、しかもこんなところでネタにされていると知ったら四倍くらい恥ずかしいだろうが知ったことではない。
もう少し娘のフリしとくんだった…と少しだけ残念に想ったことは秘密にしとこう。
***
次に、転。(転とは、起承転結の転。物事の転換。)
──と、想っていたんだこの日までは。だから、もうこんな風にネタにすることも、当然ないだろうと想っていたんだ…。(ドラマのOP調に読んで下さい)
なのに。
『あ、お父さん』
何故まだ”お父さん”からの電話がくるんだ…?
娘に番号を確かめて、メモリを入れ替えたんじゃなかったのか!?
それとも単にリダイヤルを使っているだけなのか!?
困惑をよそに、後に残るのは伝言のみ。
『昼飯、何か買ってこうと想うんだけど、電話だけちょうだい』
(昼飯を買っていこうというその心意気は大変いいと想うけど)
おとーさん、そのご飯は舞さん(仮)に買ってあげてください。
***
次に、また転。(転とは、起承転結の転。物事の転換。)
そしてその後も、何回か電話は続く。
このころになると半分諦めて、逆にネタにしてやろうとする気持ちの方が強い。つくづく、最初の電話から全てメモしておけば良かったと想うが、今更悔いても遅い。
ともあれ、電話がなるのは昼間が多いため、私は電話に出られず後で伝言を聞く、という体勢が整っていた。
そしてこの日も。
『今日コロ床屋に連れてくんだけど、カードあったと想うんだけど、どこにあるか知らない?』
知るか。
(だんだん疲れてきた)
***
次に、結。(結とは、起承転結の結。たぶん終結。)
とかいっている間に数ヶ月経過。
”お父さん”、いい加減にしてくれないと、ネタにするにも限度があるんだけどさ。
ネタも新鮮さが重要でね、何度も同じネタが使えるわけじゃないんだよね。分かるでしょ?
あ、電話。
ぴっ(録音中)
『あ、お父さん。駅に着くよ』
どこの。
やばいです。ツッコミにもキレが無くなっています。そろそろ限界です。
更にもう一回電話が鳴る。当然同じ番号。
娘にご飯を買っていったり、駅に迎えにきたりする”お父さん”。
いい”お父さん”じゃないか。
間違い電話さえなきゃな。
というわけでこの日、”お父さん”に間違いを悟らせたのであった。
でめたしでめたし。
by generalx
| 2009-09-17 21:46
| バトン
|
Comments(2)