2007年 12月 24日
I wish your pleasure(from 'CODE GEASS')
「あ」
しんと冷えた空気の中、かしゃかしゃとキーボードを叩く音が響いていて、スザクは声をあげた。
クリスマス休暇でほとんどのメンバーが本国へ一時帰国しているこの時期、特派の間借りしている研究室もさすがに人影は少ない。
「ロイドさん」
「やあスザク君。君も仕事?」
「はい…どうせ宿舎にいても暇ですから。ロイドさんこそ、本当に帰らなかったんですか」
ロイドはキーボードを叩く手を止めずに答える。
「帰らないよ~面倒だもん」
そんな理由で片付けていいものなのだろうか。
セシルでさえ、許可を貰って本国へ一時帰国している。伯爵ともなれば、本国で何やら色々やることもあるのではないだろうか。よく知らないけれど。
「スザク君こそ、もっと休んでも良かったんだよ。どうせ休暇が開けるまで、やることないんだし」
「いえ、充分休ませて頂きましたから」
「ああ、パーティどうだった?」
クリスマスパーティが初めてだったスザクを気遣って、マナーやらなにやらセシルは色々教えてくれた。もっとも、ダンスも教えようという申し出は丁重に辞退したが。
「クリスマスってこんなに楽しいものだったんですね」
スザクはにこりと笑った。
「すっごい美人と踊ったんですよ。誕生日以外のプレゼントって初めて貰いました」
「そ、良かったね」
「はい」
スザクは楽しげに笑って、自分の作業をするためにランスロットのコクピットへ向かった。その背中に、ロイドはついでのように声をかけた。
「あ、スザク君。メリークリスマス~」
顔をあげずに手をひらひら振ってよこす上司に、スザクはちょっと苦笑いをして返答した。実は口にするにはちょっと抵抗があるのだ、とは親友にも言っていないことだ。
「…メリークリスマス」
---
貴方にも私にもハッピークリスマス。
ちなみにスザクは、夜にはルルのホームパーティに出かける予定。
by generalx
| 2007-12-24 21:22
| ギアス掌編
|
Comments(3)